加藤キナさん

Q
後期独立に出展くださる加藤キナさん、
今回出展予定の作品を教えてくださいますか?
と、お尋ねしましたところ、深いメッセージを返してくださいました。

この数年、たん瘤のように頭にくっついて放れない、ひとつの問いがありました。
 
「革とは 一体 なんだろう?」
 
2014年に初出展した「工房からの風」で、その瘤はいよいよでかくなり、
2ヶ月後、私たちを墨田区のある鞣し工場へと向かわせることになりました。
 
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それから2年。
 
奥日光の白樺の林の中、生息している鹿たち。
冬は雪深く、餌も少ないその土地で、たくましく生きる姿には凛とした美しさがあります。

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その鹿たちも、日本各地の猪・鹿と同じく、
農作物や希少植物を荒らす害獣として駆除の対象になり、
5年前の震災の影響で食肉ができないために、
廃棄物として暗い穴に捨てられてきました。
 
「せめて皮だけでも活かすことができないだろうか。」
そう考えた1人の青年と出会い、
慣れない野生の鹿革を材料として革製品の制作を進めてきました。
 
シミや傷・鉄砲の穴・季節や栄養状況により変わる革の厚み・・・
沢山の課題が山積みとなりました。
 
皮を剥ぐタイミング・技術・一定しない皮の確保については、
産地である日光MOMIJIKAさんが研究を重ね、
ずいぶんと扱いやすい革に成長してきました。
 
それでもまだ、輸入革や問屋さんに並べられている革の方が
価格的にも手に入れやすいのが現状ですが、
ナゼなのでしょう、触れれば触れるほどに、
この野生の鹿革に魅了されていくのです。

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物語を秘めた革でもあるのですが、
まず何も考えず手に取ってみてほしい・・・そう思います。
そのふわりとした軽さ、しなやかさ、手に吸い付くような触りここち。
 
薄いがゆえに、美しい細工をもたらすことにもなりました。 
大きなカバンでしたら、1頭で作れるのはたったひとつ。
でも、そのたった一つを大事に長く使って頂ける方へとバトンを渡すのが
私たちの仕事なのだと感じています。
 
このような老舗のデパートで、
野生の鹿革作品を置かせていただけるのは、とても貴重な機会。
関係者の方々に深く感謝しています。

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ここ二年にわたり、キナさんが夢中になって取り組んだ鹿革によるものづくり。
作る部分を精一杯受け持ちながら、
作る部分だけではない背景をしっかり心に受け止めながらのお仕事は、
こんなに美しい作品となって私たちの目の前に現れました。

バッグやお財布など、鹿革ならではの暮らしの道具。
ぜひ、お手に取ってみていただきたいと思います。

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加藤キナさんは、

8月5日(金)と7日(日)以外の5日間在店くださいます。
およそ11:00〜19:00の予定です。

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「育てよう、レモンの実」にもご協賛くださいました。
鹿革を使った、ブローチを限定5個。
ちいさく軽いので、麦わらにも素敵ですね。